感想雑貨店フヒねむ

ねむくて仕方がない日々の記録を残せたらいいな、と思っています

【漫画感想】「白暮のクロニクル」 11巻(完結)

白暮のクロニクル 11 (ビッグコミックス)

ゆうきまさみの極上ミステリー、完結!

12年ごとに繰り返される連続殺人事件「羊殺し」。
その犯人である、茜丸(桔梗凪人)の逮捕により、
事件は無事に解決したかに思われたが、
まだ謎は残されていた。

内通者、そして茜丸が連れていた少年・ボーヤの存在……
新事実が発覚し、最後まで事件に取り組もうとするあかりだが、
なぜか消極的な魁。

そんななか、60年の眠りから目を覚ました章太の記憶が戻り始め、
自分を殺された日のことを思い出して---

すべての鍵を握るボーヤ、その驚きの正体とは!?
現代の吸血鬼×日常ミステリー、完結!

Amazon内容紹介より

完結巻です。もう、このラストシーンを読むことができたことだけで満足です。切なさが爆発していました。個人的にはこのラストシーンのためだけにでも11巻分を読む価値があったと思います。そして10巻の感想で書いていた、11巻はもしかして丸々エピローグになるのでは、という予想は先走りすぎましたね。まだまだしっかりと物語の最中でした。サスペンス要素はほとんどありませんでしたけれども。


さて「白暮のクロニクル」の11巻です。とうとう完結ですね。このブログで感想文を書き始めたのが8巻からでしたので、白暮のクロニクルはすでに山場を迎えていましたから、それから毎巻の感想を書く際に終わりが近いことを意識してしまい、常に寂しい気持ちを抱えたまま感想文を書いていた気がします。もう少し前の巻から感想文を書けていれば、犯人や展開のアタリ・ハズレなどを予想する面白さがあったのかもしれませんね。サスペンスで犯人を当てることが出来た記憶がないので、きっと当たらなかったと思いますが…。

ちなみに10巻の感想に書いていた「羊殺し」という事件が桔梗さんによって引き起こされていたとした時に感じる違和感などはしっかりと解決してくれていましたし、事件自体が「儀式」であった理由も語られていましたので、気になるところはほぼ回収し切ってくれたように思います。一点だけ、もう少し描いて欲しかったなと思う部分としては「オキナガ*1」という存在に対する社会の反応の着地点ですかね。基本的には「竹之内さん」というスーパーな存在のオキナガによる活躍でオキナガの権利確保が何とか出来て、オキナガの生活は物語の始まりと変わっていない、という着地点であったかと思いますけれども、一連の事件による社会からオキナガに対する不審感みたいなものの高まりがそれで解消されたとは思えませんから、それを沈めるような何かしらの動きみたいなものが描かれていても良かったのかなあ、とか思ったのです。せっかくフリーライターをしている登場人物もほぼレギュラー状態で登場していた訳ですしね。それにしても竹之内さんは再び出世したみたいですけれども、存在が孤高すぎますし、いつか狂ってしまうのでは…とか心配になってしまいました。


ところで「オキナガ」という設定の時点で、雪村さんと伏木さんの個人的関係の行く先はある程度予想がつく訳ですけれども、予想し得る中でも納得感のある形に収束させてくれました。もちろん、その結果があのラストシーンとなってしまうのですが、一番美しい結末だったのだろうなあ、と思います。永遠と呼べる年月を生きる主人公・雪村さんが大切なものを失い続けるという運命には、想像の及ばないような悲しみと絶望と諦らめがあるのでしょうけれども、対する伏木さんの踏み出せなかった想いのようなものを断ち切ったところがどの時点であったのか、というところは気になりました。

伏木さんが職業選択、という形で人生の決断をしたシーンは明確に描かれているとは思いますが、雪村さんの近くにいることを選ばなかったことを決断したのはどこだったのかな、という疑問は残りました。もしかしたら仕事の相棒として戻ってきた後、ラストシーンまでの間にある時間の流れの中にあった出来事だったのかもしれませんが…。出来れば、物語の中でその瞬間の伏木さんの表情を描いて欲しかったな、と思いました。もちろん描かれていたことに自分が気付いていないだけ、という鈍感すぎる話もなくはないと思いますけれどもね。


そんな訳で「白暮のクロニクル」の11巻は見事な完結巻でした。さすがゆうきまさみ氏、という感じがしますね。まさに安心のゆうきまさみ印。次回作は「でぃす×こみ」も完結させてから、ということになるのでしょうか。でぃす×こみはもちろんですけれども、次回作が今から楽しみです。地味で評価されにくいところがあったのかもしれませんけれども「白暮のクロニクル」、実は凄い漫画でした。楽しかったです。一気読み、オススメですよ。

*1:圧倒的に長命の種族。不老不死に等しい。